・生産性の意味や活用方法を教えて。
こういった疑問を解決します。
本記事のテーマ
飲食店の代表的な生産性4つについて詳しく解説していきます。
- 人時売上高
- 人時生産性
- 人時入客数
- 労働分配率
本記事の信頼性
飲食歴15年
取締役・新店開発部長として(焼肉・居酒屋・バル・カフェ)新店を複数店舗立上げ→若い経営者を応援したい想いから→飲食業コンサルタント
実践で使える知識が大好きです。
飲食店の生産性とは
飲食店を経営されている方や、店舗を任されている店長や社員の方は、生産性の向上に悩まれている方は多いと思います。
利益確保するためには、生産性の向上が必至です。
正しく生産性の指標を理解して、自店舗で活用しましょう。
生産性の指標導入の流れ
①自店舗のあった指標【人時売上高・人時生産性・人時入客数・労働分配率】を選ぶ。複数OK。
②現状の数値を測定し、基準値を理解する。
③生産性を上げる施策を実行し、どれくらい数値が向上したのか確認する。
④数値を分析して、ブラッシュアップしていく。
では解説していきます。
飲食店の代表的な生産性4つとは
人時売上高・人時生産性・人時入客数・労働分配率について詳しく解説していきます。
人時売上高(にんじうりあげだか)とは
人時売上高の計算式は
- 売上高÷総労働時間=人時売上高
売上高は、1か月の総売上高でOKです。
総労働時間は、1か月の社員とアルバイトの方が働いた、総時間数です。
例えば、
総売上高300万円で、社員労働時間270時間、アルバイトの合計労働時間330時間だった場合。
300万円÷(270h+330h)=5,000円/h
となります。
単位は、円/hとなり、1時間あたり何円という意味です。
つまり何がわかるかというと、
従業員の1人が1時間働いて、どれだけ売上を作ることができたかの平均値がわかります。
目標は、4,000~6,000円/hと言われていますが、
まぁ不可能な業態も多々あります。
具体例でご説明します。
焼肉店の場合
仕込み時間や、調理時間など少なく、人時売上高は容易に5,000円/hを超えてきます。
原価率が高く、人件費が低い業態は、4,000~6,000円/hは可能な数値と言えます。
居酒屋やカフェの場合
仕込み時間が多く、調理時間も多く、お客様滞在時間も長い業態は、ぶっちゃけ、3,500円/hあれば、結構頑張っています。
その変わり、原価率が低いため、利益確保できます。
このように、あくまで数値は業態ごとに設定したほうが良いです。
人時売上高はどのような業態に適しているか
全ての業態に対応しています。
ただし、総売上高は、全ての経費と利益を合算した数字なので、大まかな数値分析となります。
人時生産性(にんじせいさんせい)とは
人時生産性の計算式は
粗利益÷総労働時間=人時生産性
粗利益は、1か月の純売上高-1か月の原価額です。
総労働時間は、先程記載した通りの、1か月の社員とアルバイトの方が働いた、総時間数です。
例えば、
純売上高280万円で、原価額100万、社員労働時間270時間、アルバイトの合計労働時間330時間だった場合。
(280万円-100万円)÷(270h+330h)=3,000円/h
となります。
単位は、円/hとなり、1時間あたり何円という意味です。
つまり何がわかるかというと、
従業員の1人が1時間働いて、どれだけ粗利益を作ることができたかの平均値がわかります。
少しややこしいかもですが、
人時売上高に比べ、原価を差し引いた、数値を基準としているため、
原価を無視した、指標が人時生産性となります。
具体例でご説明します。
年間通して、毎月ほぼ同じ原価率の店舗だった場合
原価以外の生産性を向上させる施策をした場合、より数値分析しやすい指標となります。
同業態を多店舗展開している場合
ほぼ原価は同じなため、原価を無視して、同業態店舗を並べて、生産性を分析するのに便利な指標です。
店長が変わるだけでも、この人時生産性は大きくブレるのが特徴です。
人時生産性は、原価が安定している業態向き
チェーン店や、年間通して原価が安定している店舗におすすめです。
人時入客数(にんじにゅうきゃくすう)とは
人時入客数の計算式は
入客数÷総労働時間=人時入客数
入客数は、1か月の総客数です。
総労働時間は、上記と同じです。
例えば、
1か月の総客数700人で、社員労働時間270時間、アルバイトの合計労働時間330時間だった場合。
700人÷(180h+420h)=1.16人/h
となります。
単位は、人/hとなり、1時間あたり何人という意味です。
つまり何がわかるかというと、
従業員の1人が1時間働いて、どれだけお客様ために労働できたかの平均値がわかります。
この数値は、シフト作成の見直しや、アルバイトの教育レベルなど、人件費の生産性を向上させる施策に向いた指標となります。
人時入客数は、入客数が多い低単価業態向き
全ての業態で適用できますが、特におすすめは、ランチ業態が主体の、入客数が多い業態に向いています。
アルバイトの教育状況で、この人時入客数は大きくブレるのが特徴です。
労働分配率(ろうどうぶんぱいりつ)とは
労働分配率の計算式は
人件費÷粗利益×100%=労働分配率
人件費は、1か月の人件費額
粗利益は、1か月の純売上高-1か月の原価額
例えば、
人件費100万で、純売上高280万円で、原価額100万だった場合。
100万円÷(280万円-100万円)×100%=55.6%
となります。
つまり何がわかるかというと、
粗利益に対する人件費の割合がわかります。
過去の本やネット情報での指標目標では、40%が理想と言われてきましたが、ぶっちゃけ無理です。
40%だった場合の人件費は、
粗利益×労働分配率=人件費
(280万円-100万円)×40%=72万
40%では、社員にまともな給与を払えないですし、お客様を満足させるだけの人件費を使えません。
労働分配率は高すぎても、低すぎても適正ではない
このように労働分配率は、高くても利益が残りにくい体質ですし、低くても従業員を幸せにできません。
自店舗で適正の労働分配率の数値を探っていきましょう。
最後に、生産性を上げる方法をご紹介します。
ITツールの活用
管理業務の時間短縮
- 集客管理ツール
- シフト管理
- 給与システム
- 発注システム
- 人材採用ツール
- 会計ソフト
営業面での時間短縮
- 予約台帳
- コールシステム
- タッチパネル
- 教育ツール(教育動画マニュアル、マニュアル表)
など、ITツールを活用して、生産性の上げることが手っ取り早いです。
補助金を有効活用して、自店舗に必要なITツールを選査しましょう。
ソフト面での生産性向上
- 人材育成の徹底
- 商品に付加価値をつけて売価をあげる
- 商品を減らす(カテゴリーごと減らす)
- 無駄なサービスを減らす
- 無駄な管理業務を減らす
など、日々の営業や管理業務のムリ・ムラ・ムダを省いて、効率化を意識していくことで、生産性の数値も向上します。
以上どうだったでしょうか?
飲食店の代表的な生産性4つ解説しました。
自店舗で一度、全ての生産性の数値を計算することをおすすめします。
その後、施策実行して、どのように数値が変化しているのか分析して、ブラッシュアップしていくことが大事だと思います。
生産性は経営者にとって、従業員が幸せになれるかどうかの永遠のテーマだと思います。
働く人が幸せになる店舗になれば幸いです。